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「ねぇ今どこにいるの?」
10時に待ち合わせをして、もう15分すぎてる。彼が、10分遅れてきた私より遅いのは珍しい。それにメールしても既読がつかない。何かあったのではと思い普段あまりしない電話をした。
私の心配をよそに普通に電話に出た彼に、ほっとしてすぐむかついてくる。
「いまどこ?待ち合わせに遅れるなんて、なんかあった?」
「え?あの、間違い電話じゃないですか?」
「え?」
(私間違えた?)
すぐにスマホの画面を確認するが、そこには彼の名前が表示されている。
「ふざけないでよ。彼女に対して失礼じゃない?」
「は?彼女?」
すると、電話の向こう側で彼を呼ぶ女子の声が聞こえた。
「ねぇちょっとどういうこと?あんた誰といるの?」
「あなたには関係ないでしょ。というか誰ですか?」
「なにそれ!そっちの子にバレないように知らないフリでもしてるつもり!?サイテー!!」
「いい加減にしてくれよ。正直迷惑だ」
「あっそう。あんたがその気ならもういい。別れるから」
怒りに任せて電話を切る。
泣きたい気持ちを抑え、近くのベンチでうずくまった。
メガネを押し上げ指に髪を絡ませながら、スマホの画面を呆然と眺める。
最低。なんなの?優しくてかっこよくて大好きだったのに。まさか二股してたなんて!そんな男だとは思わなかった!!
相手は誰?私の知ってる人?
一体誰と会ってたの?
お気に入りの白いワンピースが、風になびいた。
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