この光が消えても~雪とイルミネーション物語

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「ねぇ、知ってる?」 「何?」 「駅前でイルミネーション点灯したでしょ?」 「あ、もうそんな時期か」 「駅から横断歩道渡ってすぐの場所に、円錐形のモニュメントイルミあるしょ? 人が入れる場所」 「あったかも」 「クリスマスの日、仲良しでいたい人と点灯している時に一緒に入って、向かい合わせになって両手繋ぐとずっとずっと仲良くいられるらしいよ!」 「へぇ、そうなんだ。でもそういうの信じないかな俺」 「へへ、言うと思った。その話、今、私が考えたんだけどね!」  静まり返った放課後。柑橘系の香りがしそうな夕空を背景に、当時2年生だった彼の教室で窓側の席に座りながらしていた会話。  色とりどりな、ときめく街のイルミネーション通りをひとりで歩きながら、その時を思い出していた。    これは私が高校1年生だった頃のお話。  
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