●入学式の朝

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 困った、お外ではいつも、時子ちゃんと呼べるのに。  そう思って時子は振り返った、史織は下を向いて立ち止まっていた。  表情は黄色い帽子で見えない。  泣いちゃうか、時子にはなんとなく予想できていた。  卒園からずっとリモートだった小学校。  リモートワークで仕事をしている時子と、二人でお勉強もしていたのだ。  そりゃ、不安にもなるよね、時子は困ったように眉を下げた。 「ちょっとお話ししよっか」  そう言ってビルの暗がりに、史織を連れていった。  今度はお手々をしっかり握って、着いてきた。 「とっこちゃん」 「もしかして、怖くなっちゃった?」  史織は首を振った。  小学校楽しいよ? そんな風に言う時子の声は届いていないみたいだった。  すこし困った顔をして、時子は口を開いて  あのね。
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