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困った、お外ではいつも、時子ちゃんと呼べるのに。
そう思って時子は振り返った、史織は下を向いて立ち止まっていた。
表情は黄色い帽子で見えない。
泣いちゃうか、時子にはなんとなく予想できていた。
卒園からずっとリモートだった小学校。
リモートワークで仕事をしている時子と、二人でお勉強もしていたのだ。
そりゃ、不安にもなるよね、時子は困ったように眉を下げた。
「ちょっとお話ししよっか」
そう言ってビルの暗がりに、史織を連れていった。
今度はお手々をしっかり握って、着いてきた。
「とっこちゃん」
「もしかして、怖くなっちゃった?」
史織は首を振った。
小学校楽しいよ? そんな風に言う時子の声は届いていないみたいだった。
すこし困った顔をして、時子は口を開いて
あのね。
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