●入学式の朝

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 その声を遮って、史織は時子の首に手を回した。    そして、耳元で囁く。 「とっこちゃん、寂しいよ」  ゾッとした。その言葉は、いつもの甘える史織の言葉だった。  しかしその声は、いつもより大人びた。そう、艶やかな声だった。  当たる吐息に、思わずぽーっとしてしまった。 「ちょっ……史織ちゃん!」  小声で距離をとる時子。腰は完全に引けていた。  史織は、はにかんだ笑いをした。  でもどこかコケティッシュに感じてしまう。  へたりこむ時子に、史織は言った。 「時子ちゃん、一緒にいよ?」  ちっとも怖がって無い……のかな? 時子は苦笑いした。
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