星の声

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あの日は年に一度の夏祭が開催されていて私は、子供ながらに祖母から着せてもらったお手製の浴衣が嬉しくて、少しばかり気分が高揚し、浮かれていた。 それほど大きくない町内会の夏祭り。幾つもの屋台が並び子供達の笑い声がこだまする。松明の柔らかな炎が揺らめきながら祭りを彩り、華やかなお囃子の音色が祭りを一層盛り上げた。 ―――ゾクッ――― 一――鋭い視線 見つめた先に【彼】がいた。 靡く艶やかな黒髪。切れ長の瞳は、眼光鋭く研ぎすまれたようにキラリと光を放っていた。 彼の見ていた方向に視線を向けると… そこには祖父母がいた。 強い恨みが籠った… そんな狂気に満ちた瞳 その瞳には1点の曇りもない 彼の放つ独特なオーラは【美しかった】 ただ、ただ 美しいと感じてしまった。 その強く、激しい怒りに満ちた瞳が私を捉えて離さない。 本能剥き出しのまま、今にも食らいつきそうな彼の眼差しが私の心に毒の華を植え付けた。 そして――― 私の心は奪われた。
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