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――ミカエル・アルフォント 後日談――
ティーパーティの余韻も残る中、まじない通りでは無かったけれど、僕はリボンを義姉さまに渡せた事で上機嫌だった。
まじないなんて、どうせ気休め、子供騙し。
義姉さまが喜んでくれた事だけでじゅうぶんだ。
「ミカエル」
学園の廊下で珍しく仏頂面のジェスターが話しかけてきた。
ジェスターが感情をあんなに表に出すのは、義姉さま絡みの時だけだから、なんか義姉さまとあったのだろうか?
「ミカエル、知ってるか? あのティーパーティーのまじないは、ザラ先生がかかわってるらしいぞ」
「えっ? かかわってるって?」
「ザラ先生が学園にいた時、興味本位で言葉に魔法を込めたらしい」
ジェスターらしからぬ、不機嫌そうな声を出し、僕を見る。
興味本位で、言葉に魔法を込める?
意味わからないんだけど……
「決まった行動を取り、最後の言葉を発するとまじないが発動する仕組みだ」
う……そ……あれ……ザラが作ったの?
じゃあ……じゃあ、あれは、まじないとは名ばかりの魔法?
「まぁ、きっかけにしかならないらしいけどな。後は、本人次第」
だとしても! チャンスだったって事だよね?
ああ、だから、エドワードが邪魔しに来たのかぁ!
まじないごときに、変だと思っていたんだよ。
「あと少しで、僕は発動の言葉が言えたのに……」
ジェスターの恨みがましい視線が僕に注がれる。
そういえば、ジェスターがリボンを渡すのを邪魔したのは僕だ。
間に合って良かったぁぁ。
僕は胸を撫で下ろし、ジェスターと目を合わせ、にっこり笑いかけた。
「そうは言うけど、ジェスターだって、ご令嬢達けしかけて、僕の邪魔したじゃない」
「ああ、ご令嬢の人数、倍にしとけば良かった」
何言ってんの! 勘弁してよ。
あの人数だって、大変だったのに!
ああ、それにしても……アレが魔法だったなんて……
来年! 来年のティーパーティーこそは……
「ザラ先生、まじない、回収したらしいぞ。今まで忘れていたとか言って。だから、来年、実行しても、なんにもならん」
……オワッタ。
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