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悠真くんのユウレイが出る、というウワサで、今学校は持ちきりである。
そのウワサは本当だ。
なぜなら悠真くんは、今まさに、私の目の前にいるからである。
悠真くんと私は、友だちだった。去年クラスメイトだったからである。五月のクラス合宿で意気投合して、私たちを含めた仲間どうしで、下の名前で呼び合うまでに仲良くなった。
実を言うと、私は悠真くんのことが、ちょっと好きだった。だけど、ほんの少しだけだったし、その時は言うほどのことではないかな、とも思っていた。まだ高校生活は始まったばかりだったし、恋人の未知なる体験より、一緒にふざけたり悩んだりできる仲間の方が、必要だったのだ。
そしたら、二年生になってクラスが離れて、桜が散って。すぐに悠真くんは死んでしまった。あっという間だった。
そして、死んだと聞かされたその日の放課後から悠真くんは、私の前に現れるようになったのである。
「悠真くん、なの」
「うん」
そうだよ。
悠真くんは笑った。頭からつま先まで、間違いなく悠真くんだった。
「何で」
と、慎重に私は言った。
「死んだって……聞いたよ。先生から」
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