悠真くんの肖像

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 少しだけ目が隠れるくらいの前髪。少し人より薄い肌の色。それから、穏やかに暗い二つの瞳。 「……油絵にしようかな。やったことないけど」 「おお、すげー、油絵か」 「あるかな。探してくる」  背を向けて、道具棚の方に行く。  涙を、どうにかしなくてはいけなかった。  それからというもの、毎日のように悠真くんの絵を描いている。  結局は自前の、アクリル絵具にした。まずは下書きをして、その上に色を乗せる。しゃり、しゃり、と鉛筆が、徐々に、悠真くんをキャンバスの上に浮かび上がらせていく。  描いてみると、分からなかったことが、分かってくる。悠真くんのまつ毛は長い。悠真くんの唇は赤い。悠真くんって。悠真くんは…… 「ねぇ、ももか」 「……何?」 「まだ?」  悠真くんは、落ち着きがなかった。 「まだだよ。まだ色も塗ってない」 「えぇ〜」 「せめて下書きまでは、じっとしててね」 「あれさ。ゆーたろーたち、なんか言ってた?」 「え?」 「おれが死んでさ。……泣いてたりした?」  私は手を止めて、思い出した。 「……そりゃ、泣いてたよ。みんな、泣いてた」 「……そっか」 「だって急だったんだもん」
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