私の推理

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私の推理

 ジュリアスがロミナの死を知った翌日のこと。  または、彼が死んだとされるその日のこと。  ロミナの死に頭を抱えることになってしまったジュリアスは、一人部屋に閉じ籠っていた。  そんな彼を訪ねて、ある人物がメガートン邸にやってくる。 「ご機嫌麗しゅうございます。ディオクロイス家」 「御機嫌よう」  落ち着きのある青色のドレスに身を包んだ、アイヴィー・ディオクロイス、もとい、ノア・ディオクロイスだった。  門番は公爵家の来訪に、快く門を開放し、邸内へと通す。  例え、付き人を連れてやって来た公爵令嬢のただ一つの荷物が、花を一杯に携えた大きな園芸用のワゴンだったとしても、疑問にこそ思えど、それを不審と判断する者はいない。 「ディオクロイス様? いかがなされたのですか?」  ノアを出迎えたのはメガートン男爵。 「申し訳ございません。妻はまだ……ロミナ嬢の死にショックを受けているようで……」 「構いません。ジュリアス卿に用があって足を運ばせていただきましたので」 「ジュリアスに、ですか」 「ええ。お邪魔しても?」 「も、もちろんでございます」  ノアは難なくアイヴィーとしてメガートン邸へと入り込んだ。 「旦那様、奥様がお呼びでございます」  ノアが足を踏み入れてすぐ、メガートン男爵がメイドに呼ばれる。  メイドはノアの姿を目にし、邪魔をしてしまったことに気が付くと、声を掛けたタイミングを後悔して青ざめる。 「し、失礼いたしました」 「気にすることはございません。メガートン男爵、今は奥様のお側に」 「で、ですが……」 「私は、ジュリアス卿を元気づけようとお花を送り届けに来ただけですわ。すぐにお暇いたしますので、どうかお構いなく」 「そ、それでは、お言葉に甘えさせていただきます」  メガートン男爵は奥の通路へと消えていく。  メイドが一度振り返り、怯えた目を向けてきたので、ノアはひらりと手を振った。  彼女は頬を赤らめて、パタパタと男爵の後を追っていった。
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