Chap.2

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「ジュール・ヴェルヌ。さっき言ってた『十五少年漂流記』とか、あとは『地底旅行』とか『海底二万里』とか『八十日間世界一周』とか」  『地底旅行』『海底二万里』『八十日間世界一周』。玲は頭の中にメモする。今度読んでみよう。  英語で本を読むことについて玲はもっと聞きたいと思ったけれど、竹山君に、 「日本の本では?何か好きなのある?」  と訊かれてうーんと考え込んだ。 「日本のね…。日本のは、実はあんまり好きなのがないんだけど…あ、あれ!『霧の向こうの不思議な町』!知ってる?」  竹山君がにこりとして頷く。 「絶対くると思った。『地下室からの不思議な旅』もでしょ」 「そう!あの二冊はね、町の図書館で借りて読んで、大大大好きになったの。小二くらいだったかな。二冊同時に借りて、夢中になって何度も何度も読んだ。でも、そのあと本屋さんで買ってもらおうと思ったら、図書館のと同じ挿絵のがなくって。それで、お母さんがネットで図書館のと同じの探して買ってくれたの。あの二冊はね、寝る前に読むのが好き。いい夢見て眠れる気がするの」  夢中になって話すと、竹山君がうんうんと頷いてくれる。 「わかる。眠る直前に読んだ本って、夢に影響するよね。僕が持ってるのもタケカワこうさんの挿絵のだよ。すごくいい絵だよね」 「ね!あとは…。うーん、本当に日本のってあんまり好きなのがなくて…。みんながよく読んでる、なんだか変な漫画っぽいのは読む気がしないし。…あ、もう一つあった!『木かげの家の小人たち』。あれは去年学校の図書室で見つけたの」 「へえ、それ知らないな。どんなの?」 「イギリスから日本に来た小人の一家と、彼らを守っている女の子のお話。戦争中のお話だから、『霧の向こうの』とか『地下室からの』とかとは随分違って、現実的だし、ちょっと読むのが辛いとことか悲しいとこもあるんだけど、でもどうしてか好きなの。竹山君は?日本ので好きなのある?」 「そうだな、僕もかなり外国寄りなんだけど、星新一は好きだよ。知ってる?」 「知らない。どんなの?」 「SF。短編がいっぱいあってね。ショートショートっていうの。面白いよ」  星新一ね。これも頭の中にメモしたところで、あることを思い出した。  そうだ、竹山君に訊いてみよう。 「竹山君って、大人の本も読む?」 「大人の本?」 「うん。『人間失格』とか『罪と罰』とか」
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