迷い猫

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「ねえ、きみはなんで長いこと外にいたのかな」 「なんでかな。思いだせないや」 「きっと、まだ混乱しているんだね。ゆっくり思いだすといい。ゆっくりおうちへ向かいながらね」  おまわりさんはのんびり歩きだしました。 「ぼく、帰れるの? みちこに会いたい」  ぐれこは細長いしっぽをぴんと立ててついてきます。 「みちこのなでる手は、ちょっとざらついてて、とっても気持ちいいんだよ」 「みちこは歌がじょうずでね、ぼくは眠っちゃうんだ」 「みちこはね、あみものもじょうずでね、ぼくにチョッキをつくってくれたんだよ」  飼い主みちこのことを次々話すぐれこはとても楽しそうです。  これなら帰しても大丈夫だろう、とおまわりさんはにっこり笑いました。  けど、疑問がでてきます。こんなにも飼い主のことが好きなのに、なんでこんな状態になるまで外にいたのだろうかと。
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