5人が本棚に入れています
本棚に追加
「腎臓を一つ頂きます」
予想外の条件に、
「えっ?
腎臓?
腎臓って…… 」
すぐには理解出来ずに戸惑っていると、
「二つあるうちの一つを貰うだけです。
昔から言うじゃありませんか、腎臓と親知らずは無くてもいいって」
聞いた事のないフレーズを口にして黒崎は微笑む。
「いや……
でも……
十万円で内臓が無くなるってのは…… 」
霧子が渋っていると、またサングラスの奥の目が鋭くなり、
「十万円じゃあありませんよ」
はだけた白シャツの胸に掛かった金のネックレスが光る。
「えっ!?
でも…… 」
黒崎は気もを遮り、
「確かに貸しつけるのは十万円。
ですが先程言った通り、確率の良いギャンブルがあります。
三日でその十万円が何十倍にもなるかもしれません」
腎臓を渡せば手に入るのは何百万だと暗に告げる。
「それってどんな…… 」
霧子は喉が鳴るのを必死に抑えながら尋ねた。
最初のコメントを投稿しよう!