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霧子は封筒を握り締め、十万円を何十倍にもする稼ぎ方を教わった時のやり取りを思い出す。
「裏カジノです」
「えっ?
裏…… 」
「非合法のカジノという事です。
まぁカジノで金を賭けること自体、今の日本じゃ非合法ですから裏なんて付ける必要ないんですけどね」
「いや……
でも……
捕まったり……ハメられたり…… 」
「心配も当然でしょう。
ですが、その点は大丈夫です。
新規オープンの店ですから、警察への対策は勿論ですし、新規だからこそ顧客獲得の為に暫くは大盤振る舞いです」
「そんなに儲けられるってんなら、黒崎さんが行ったらいいじゃないですか」
「そのカジノ店を経営してるのは蛇頭組、私のいる組織と敵対関係でしてね。
顔バレしてる私が行けるはずなんてないんですよ。
それに、あなたには三日という時間しか残されていない。
そして、その三日というのが丁度良いんです」
「どういう意味ですか!? 」
「新規客には三日間だけは激甘。
四日目から回収にかかるんです」
「三日間も儲けさせてくれるの?
……でも、そんな事したら皆んな勝ち逃げして、固定客なんてつかないんじゃあ…… 」
「三日間儲けた奴は、必ず四日目以降も来るんです。
自分はツイてる、天才だ!ってね。
中毒になったら勝っても負けても辞める事が出来ないんですよ」
「そして、結末は絶対の破産てこと…… 」
自分が歩んで来た人生だな、そう思い返しながら教えられたビルの中へと入って行った。
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