11

1/1
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ

11

言いながら横に倒れる千代(ちよ)の頭に柔らかくフワフワしたものがあたったので、彼女は重い瞼を再び押し上げた。 「あれ?黒い…クロ吉?」 「あはは。気づいた?ある時は再生の天使ムミヤ!またある時は猫ってね♪あんまり家にいないから、(しゅん)千花(ちか)が呆れてるわ。猫には猫の世界があるのよ」 「どっかで聞いたセリフ。にしてもフワフワ…あったかい」 「ゆっくり眠りなさい。次に目を覚ましたらまたあっちにいるんだろうから」 「あっちって…?」 「いいからいいから。あなたの希望を叶えるにはね、時間がたくさんかかるのよ」 「願いならもう叶えてもらった...あれ、もしかして今思ってることも叶えてくれ...たり......」 千代(ちよ)の寝息が聞こえてくる。 ミヤは仮の姿であるクロ吉のままの恰好で千代(ちよ)の枕をしてやりながら、遠く(しゅん)のいる場所を見据えて言う。 「だから、しばらくおやすみなさい」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!