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言いながら横に倒れる千代の頭に柔らかくフワフワしたものがあたったので、彼女は重い瞼を再び押し上げた。
「あれ?黒い…クロ吉?」
「あはは。気づいた?ある時は再生の天使ムミヤ!またある時は猫ってね♪あんまり家にいないから、俊と千花が呆れてるわ。猫には猫の世界があるのよ」
「どっかで聞いたセリフ。にしてもフワフワ…あったかい」
「ゆっくり眠りなさい。次に目を覚ましたらまたあっちにいるんだろうから」
「あっちって…?」
「いいからいいから。あなたの希望を叶えるにはね、時間がたくさんかかるのよ」
「願いならもう叶えてもらった...あれ、もしかして今思ってることも叶えてくれ...たり......」
千代の寝息が聞こえてくる。
ミヤは仮の姿であるクロ吉のままの恰好で千代の枕をしてやりながら、遠く俊のいる場所を見据えて言う。
「だから、しばらくおやすみなさい」
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