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明日は前期日程の合格発表日。
明日の結果が合格なら、この塾にはもう通う必要はない。
もちろん不合格になりたくはないし、自己採点の結果も良かったから自信はある。
後期日程の受験対策に通ってはいたが、僕も彼女も、この対策が必要のないものになることをわかっていた。
今日は、たぶんきっと、彼女から教わる最後の日になる。
彼女の口から、頻出問題のポイントが語られる。
僕はメモを取るのさえ忘れて聞き入った。
あなたの心地よい声を、最後までしっかり聞いていたかった。
あなたのきれいな字も、あなたがよく使うペンの色も、何もかもを忘れないようにただじっと見つめていたかった。
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