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寝室の時計をデジタルにしていなくてよかった。この針の動く音がなかったら、きっと私は目の前に広がる暗闇に潰されていたに違いない。
あと五分で、今日が終わる。私とあなたは二十歳になる。おめでとう。本当に本当におめでとう。
あなたはまだ眠っているのか、返事はない。それでいいと思った。こういう時にすら安らかな寝息を立てているところが、とてもあなたらしくて好きだから。
そう、今初めて口にしたけれど、私はあなたのことが好きだったの。知らなかったでしょう?
ずっと秘密にしておかなくちゃいけないと思っていた。
私の気持ちを知ったら、あなたはとても苦しむと思ったから。でも、もう最後だからいいかな。あなたは今もこうして穏やかな夢を見ていることだし。
子守唄でも、なんでもいいや。私が抱えてきた十九年の想いを聞いて。
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