45人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
だいたい、どこにいますか? って聞いたのよ。居場所も答えずに、ただ遅くなるなんて返事、冷たすぎないかな。
膝を抱えて悶々としていたら、少しずつ湧き上がってくる疑問。
『送りましょう。もうこんな時間ですから』
そういえば、数度重ねたデートでも、暁斗さんは必ず夜遅くなる前には私を家に返してくれた。
お見合いだし互いの両親の目もあるし、紳士に振る舞っていてくれるんだと思っていたけれど。
「キスもまだなのに……」
というわけで未だ暁斗さんと繋がりが浅い関係。
結局、それからも暁斗さんの帰りは遅い日が続いて、夫婦とは名ばかりの新婚生活が始まった。
ねぇ、暁斗さん。私に興味がありますか――?
「はい、わかりました」
また今日も遅くなる連絡に、溜め息。
本当に仕事なのかな。ずっと打ち消してきた疑惑が大きくなっていく。確かめたい、暁斗さんの言葉を。
「ん、これから行ってみるつもり」
『友梨、悪いことは言わない。やめた方がいいわよ』
結婚を決めた時、唯一相談に乗ってもらった友人の真奈と携帯越しに話しながら家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!