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 幻のようなうつつの出来事。  きっと誰も信じてはくれない。  お腹からしずかな笑いが、ちいさな泡のようにぽこぽこと立ちのぼり、わたしの肩を小刻みに揺らしていく。  くすくす笑いと、しゃくりあげるような震え声を混ぜて、わたしは泣いた。  ひっく、と息を吸いこむたびに、胸に抱いた薔薇の花びらが、ひとひら、またひとひらと、舞い散っていった。
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