婚約破棄されたって、わたしの価値は変わりません。

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 フェイスパウダーをはたき直したアメリーの表情は、一段と明るい。  それはきっとメイクのせいだけではないのだろう。 「そういうエマは? アベラルドさんと両想いになったんでしょう?」 「アベラルドさんは冒険者だから、街にいることの方が珍しいのよ」  デートしないのかという問いかけだと解釈して、エマは苦笑いで返す。  アベラルドは今、紹介したクエストの真っ最中だろう。 「ふーん。また進展したら教えてね?」 「それは、お互いにね」  着替え終わったふたりは事務所に挨拶する。 「お疲れさまでーす」 「お疲れさまです」 「はい、お疲れ」  そして先に扉を開けたアメリーが、くるりとエマへ振り向いた。 「エマ。()()()ひとが、待ってるわよ」 「え?」 「じゃあ、また明日!」  にやりと笑みを浮かべて、アメリーは冒険者ギルドから出て行った。 「珍し……?」  エマが外に出ると、アベラルドが立っていた。 「先ほど戻ってきた。……迷惑だっただろうか」  ぼそりと呟くアベラルド。  エマは、いいえ、と首を横に振った。  「おかえりなさい」  会いたかったです。エマはそう付け加える。  するとアベラルドの眉尻が下がり、口角がわずかに上がった。  エマが初めて目にする、アベラルドの笑顔。 「ただいま、エマ」  
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