婚約破棄されたって、わたしの価値は変わりません。

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 レオンは口調こそ軽妙なものの、この国で5本の指に入る冒険者なのだ。その証が、中指のリングである。 「割り込みはだめですよー? エマは人気相談員なんですから」  隣の席からアメリーが頬を膨らませた。 「アメリーちゃん、おはよう。残念だったわね。今日は新規冒険者の紹介のために予約を取ってあるの♪」  ぴっ、とレオンが懐から指輪と同じ色のカードを取り出してみせた。  エマはレオンに頭を下げる。 「いつもご紹介ありがとうございます」 「いえいえ。前回エマちゃんが紹介してくれた国境沿いの洞窟でのクエスト。そこで知り合って意気投合した男がいてね。隣国(ネーエ)の出なんだけど、職に困っているって言うから、アタシが紹介状と推薦文を書いてこの国に呼んだの」  レオンが肩越しに振り返る。 「アベラルド!」  張りのある呼びかけに、のそり、と影が動いた。 「……あ」  レオンが促し、男はレオンの隣に座った。  短く刈られた濃いめの金髪。深い藍色の瞳は三白眼。  きゅっと結んだ口元からは寡黙な性格が予想できる。  身に着けている防具には年季を感じさせる無数のかすり傷がついているが、どれも浅いものだった。  初対面こそ暗闇だったが、エマには確信が持てた。
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