僕のガールフレンド(仮)

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 僕はの授業が終わって、同じ敷地にある医大病院の正面玄関から外に出た。彼女に出会う直前の事だ。目の前の横断歩道を渡って、二つの薬局の前を通り過ぎる。午後の診療に来る人も多いのか、人通りもそこそこある。  なにも考えずぼんやり歩いていたら、右肩に背負った重たいトートバッグが何故だか後ろから来た自転車のハンドルに引っかかって、僕は盛大にすっころんだ。バッグはチャリに引っ張られて持っていかれるし、僕は腕から地面に滑り込むし、はたから見たら多分とんでもなくかっこ悪い。チャリに乗っていた兄ちゃんは倒れそうになったものの、僕のバッグを振り落としてなんとかバランスを保ったらしく、その場にきちんと止まった。 「おいてめぇ何しやがんだ危ねえだろ!」  怒鳴られた僕は立ち上がりながら、僕を引き倒した兄ちゃんを見上げた。レトロなヤンキーみたいに金髪オールバックの兄ちゃん。歩いてただけなのに……とは思ったけれど、危なそうな兄ちゃんにスゴイ顔で睨まれたら、僕は顔を下ろすしかない。  道行く多くの人はみんなこっちを見ていた。声をかけてくるわけではないけど、「なになに、どうしたの」という心の声が聞こえる気がする。僕が恥ずかしく思うのと同じように、ヤンキー兄ちゃんも恥ずかしかったのか「ふざけんじゃねえよテメエあぶねぇんだよ」って捨て台詞を吐いて行ってしまった。  その時声をかけてきたのが、彼女だった。
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