時間と重力の講演会

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時間と重力の講演会

 そこで『新しい時計によるナントカ』の講演のため、久しぶりに外出する。  マンションの階段で、子どもを2人連れた女性に出会い、頭を下げた。  2階の家族だ。 「いつもうるさくして、すみませんね」 「そんなことないですよ。みんないい子だし」  私たちも下の家族も、10年前このマンションに引っ越した。  それほど付き合いはないが、顔を合わせばあいさつぐらいはする。  と、小さい男の子が、しびれを切らしたのか、一人で階段を走り出した。 「コータ! 待ちなさい!」  そうか、あの男の子はコータというのか。  あわてて女の人も追いかける。そのあと上の子が、だるそうにトントンと階段を下っていった。  子育てって大変そう。
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