時間経過の真実

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時間経過の真実

 あと5分、アト10分。  重力異常が発生しているなら、2階の人も同じ目に合っているはず。  そうだ。  それを確かめよう。  寝室、リビング、同居人の部屋、トイレ、洗面所。たかだか2LDKの部屋に、こんなにゴミ箱があったとは。  集めて、キッチンの大きなごみ箱にまとめる。  テーブルで一人分の朝ご飯を食べている同居人が、訝し気な視線を向けている。 「ごみ出しいってきます!」  マンションのごみ集積所で、2階の女の人がごみを出していた。  すごいタイミング。  ちょうど、あなたと話がしたかった。  同じ重力異常を受けている者同士として。 「おはようございます」 「あ、あらあ、珍しいのね」  うん。珍しいはずだ。私が燃えるごみを出すのは、半年ぶりだ。 「いえ、たまにはね、あの……朝起きるの辛くないですか?」 「そうよ。もう、ごみの日とか嫌になるわ」  その調子だ。重力異常について確認しなければ。 「あの……つい、あと5分とか、10分と思ってたら、とんでもなく時間が経つってありません?」 「あるある! 少しだけ休ませてー、って思ってソファでゴロンとかね」  おお! 本当に彼女は、重力異常に苦しむ同士だ。
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