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「ねえ、ハジャル。連れていってくれる? この国のこと、もっと知りたい」
「勿論だとも。さあ、行こうではないか。お手をどうぞ、愛しいひと」
柔らかく笑ったハジャルが手を差し出す。
見慣れたハジャルの顔が、なんだかいつも以上に眩しく見えて、ラズリはごくりと唾を飲む。
さっきとは別の意味で緊張し震える手を握り返され、さらに息が詰まった。
呼吸が乱れて、身体の熱があがっていく。
ウングの空気は、とても暑い。
これはつまり、そういうこと。
今はまだそういうことにしておこうと、ラズリは呟いた。
絵:遥彼方
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