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そしてもう一人は、パート従業員ながら、この工場の女子社員のドン、小西さんだ。
ドンと言えば、小西。
手下と言えば、安。
こんなに名前がしっくりくる人もいないだろう。
「姐さん、薄井のヤツを連れてきやした」
「ほうかい、ご苦労」
龍崎さんが私を小西さんの前に突き出しすと、小西さんがジロリと私の顔を一瞥する。
小西という苗字だけど、見た目はシュッとしてて、髪を後で束ねて切長の眉と目を前面に押し出した、見た目完全に“極妻”だ。
今にも着物から肩を出して「往生しなっせ」と言い出しそうな雰囲気。
てことは、えっ?なに?私、これからシめられちゃうの?
最近の仕事のミスの責任を取らされて、あんなことやこんなことをさせられちゃうの?
それとも変なクスリ漬けにされて、海外に…。
はっ!アルコールランプ?蝋燭?って、それ?
てか、もうそういうことじゃん!
炙るのに使うって聞いたことあるし!
それで確定じゃん!
「おい、娘。最近仕事でヘタを打つことが多いが、疲れておるのではないか?」
志麻さん…じゃなくて、小西さんがそう問いかける。
「はあ、毎日仕事に追われて、辛いです。家でも、内職の造花に囲まれて寝てるので、全然気が休まりません。うち、家計が苦しくて…」
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