揺らぐ

4/6
前へ
/6ページ
次へ
「はっ、そんなこったろうと思ったぜ」 龍崎さんの手下のヤス…じゃなくて、いや合ってるけど、安さんが合いの手を入れる。 「そんなオメエに、いいことを教えてやろうと思ってな。 姐さんもオメエに是非にって、お許しもくださったしな。 な、普段ならこんな出血大サービスなんてしねえから、感謝しろよ」 「いや、私…」 ---クスリ漬けにされるなんて、絶対嫌っ! 私、まだ男子の手を握ったこともないのに、クスリ漬けで前後不覚にされて、その後ケダモノになった男たちにマワされるなんて、悲しすぎる…。 「なんだテメェ、姐さん達のありがたいご好意になんの不満があんだよ」 「まあまて、安。ヤッコさん、ビビってるじゃねえか」 龍崎さんは、安さんを一喝すると、一点柔和な顔に変わり、私の方を向いた。 ---あ、これ知ってる。 極道の人たちのカタギへの接し方のお家芸、“飴とムチ”ってやつだ。 「すまねえな、安が脅かしてよお。 でも、薄井も変わりてえだろ? でも、今のままじゃ何も変わんねー。 だからアタシらが、薄井が変身するのを、ちょいと手助けしようってだけのことさ。 薄井にこれから、スーッと気持ちが良くなって、カンタンにハッピーになれる秘訣を教えてやるからさ。 アタシらと一緒にキメようぜ。 身体がビックリするほど軽くなって、どこまでもトンでいけそうな気分になるから、明日からの仕事がすげー捗るぜ」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加