絞首刑

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 担任の木口は駄目だ。  生徒指導の川崎先生がいい。  川崎先生。通って、通って、お願い。  もっと強めろ、と悪魔が言う。  それに従い手下どもはロープに力を込める、込める、ぐぐぐぐぐっ。  あががががっ、という音が出る。  涎がロープに染みる、染みる。  喉仏が口から飛び出そう。  手が痙攣(けいれん)する。  足が震える。  遂に私は椅子から爪先立ちになる。  私の命は足の指だけが頼りになる。  もっと強く、と悪魔が言う。  しかし手下たちは躊躇(ためら)う。  ホントに死んじゃうよ、と悪魔に歯向かったものだから悪魔は激高。いいからやれよ私の言うこと聞けんのかよやれよやれよ殺せよ。  その気迫に圧されて手下たちはロープに力を込める。  躊躇いがまだ混じっていたけれど、それでも充分に強い。  遂に私の足が宙に浮く。  足が空気を掻く、掻く、(かかと)が当たって椅子が倒れる。  私はロープに両手をかけ、抵抗する。  がふうう、という(けもの)みたいな音が漏れる。  頭のてっぺんから魂が抜けていくのを感じる。  ああ、死ぬんだな、と思った。
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