篠田美弥と斉田玲子

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 僕はまた、おお、と声を上げる。「君も来てたのか」  窓へ近付き、彼女達と向き合う。  二人は仲良さそうに顔をくっ付け合っていて、笑みを浮かべている。 「お前ら、その、仲直り、したのか?」  僕は言葉を慎重(しんちょう)に選びながらそう聞いた。  すると二人は同時に頷き、見つめ合い、また笑った。  そして僕も自然と笑みがこぼれていた。 「そうか。良かった。ずっと仲良くするんだぞ」  僕がそう言うと、僕に背を向けて歩き出す。  手を繋いで、スキップするみたいに軽やかな足取りで、本当に楽しそうな背中に見えた。  ああ、と僕は声を漏らした。  涙が浮かび、頬を伝う。  泣いたのは久しぶりだ。  どうかいつまでも幸せに、と僕は願った。 END
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