絞首刑

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 もういい、という悪魔の声がして、私の魂は体内に戻る。  背中から床に落ちる。  息が詰まる。  けれど、咳き込む、咳き込む、この世の空気を吸う、吸う。  私は生きている。  生を実感した途端、太ももに生温かい感触。  私は失禁していた。  スカートを使って尿を誤魔化(ごまか)そうとしたのだけれど、その前に臭いでバレる。  こいつ漏らしてるよ、と手下の一人が言う。  うそ、と悪魔が笑って私のスカートに手をかけようとする。  それを拒もうとするのだが、もちろん跳ねのけられる。  めくると悪臭の水たまり。  うわ、やば、と悪魔は言ってやっぱり笑った。  悪魔と手下が私から距離を取る。  ちゃんと掃除しとけよ、と言って教室を出て行く。  ああ今日も生かされた。  どうせなら殺してくれた方がどれだけいいか。  あんたは異物、と悪魔は言った。  この場所にいちゃいけない存在なの。  早く消えろよ。  何度もそう言われた。  何度も、何度も言われ、実際に私は異物なんだと認識して、けれどどうすればいいか分からなくて、答えが出せなくて、ただこうやってされるがままの一日を送って。
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