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だが吉良公を尊敬して慕いつつも、下侍としての己の将来にウンザリしていた亀沢万太郎は、これを名君からの温情あふれる提案だと勘違いしてしまう。
そして提案を実行に移しておせんに言い寄り、後は婚儀にまで関係を進めたのだが、まさか提案してくれた人から待ったがかかるとは予測していなかった。
儂の江戸入りに同行せいと義央に言われ、万太郎は目が点になる。
「し、しかし殿、それがしは殿のお勧め通り鶴屋に婿入りしようかと・・・・・・」
下侍からそれを聞き、今度は吉良公の目が点になるが、事の次第を聞くなり大いに吹き出した。
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