被験体アイ

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 ――鼻歌混じりに、研究所を後にする。 「この姿なら、さっきのよりマシか」  先刻まで馬場と呼ばれていた生物は、返り血を点々と浴びている。それを除けば、凛とした顔つきに引き締まったスーツ姿は、伊東刑事そのものだ。  運良く生き残った地球外生命体の一個体。それが擬態と欺瞞を繰り返す理由を人類は未だに気付かないままであった。
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