唯一の希望の星

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 生活保護世帯を政府はどう捉えているのか、子供一人につき5万円支給という今回の子供給付金について考えてみると、分かって来る。現在、年収300万以下の30代男性の既婚率が1割に満たず、4割近くが恋人がおらず、3割強が交際経験がない。年収が600万あっても既婚率が4割にも満たず、約3割が恋人がおらず、約1割が交際経験がない。つまり徒でさえ出生率が低くなっているのに童貞が珍しくなくなって少子化が益々進む上、結婚するのが当たり前の時代はとっくの昔に終わって今や終身雇用制度が崩壊して賃金が下がり続けている日本にあって結婚するには30代にして相当な年収が必要で子供を作るとなれば、猶更必要になり、そんな経済的事情もあって少子化が進む訳だ。だから結婚して子宝に恵まれた世帯というのは謂わば、比較的富裕層或いはまんま富裕層に属していると言っても良い訳だ。この裕福な世帯を対象に給付金を政府は送ろうとしていることになる。どうせ送るなら年収300万以下の貧困世帯だろうが!政府は貧困層が分かっていないのだろうか?正に貧困に喘ぐ俺たちは草の根で貧困層が見えないのだろうか?ま、謂わば貧富の格差拡大政策をしているだけあって富裕層を応援しようとした結果、子供給付金の発想が生まれたのではないだろうかとさえ思えて来る。  俺の勤務先の比較的富裕層に属する課長がこんなことを言っていた。「子供給付金って言うと、なんか使い辛いよな」素直に子供の為に使えよ。自分の小遣いとして使いたいもんだからこんなことを言うのだ。裏を返せば、別に子供は困ってないってことだよ。こんな奴に給付してどうするんだよ。本当に金に困っている世帯に配れよ。  あっ、そう言えばシングルマザーとか、そういう貧困世帯もあるか。子供の7人に1人が貧困家庭で育ってると言うし、ま、しかし、そういう家庭も年収300万以下の世帯に入るだろうから給付金を送るなら年収300万以下の世帯とするべきで政府の経済政策は今回も的を得ていないと言える。  俺なんかも正社員で働いていても下請けの中でも下っ端の孫請けの零細企業で年収が200万そこそこなもんだから婚活アプリとかマッチングアプリとかに登録しても女の登録者は俺なんか全く眼中にないんだ。半世紀くらい昔なら低所得者でも終身雇用に守られ将来的に漸次給料が上がる見込みがあったし、物に溢れた時代に生きる今の女程、女の欲が深くなかったから俺みたいな者でも相手にされるのだろうが、何せ、俺の勤め先のパートタイマーの女なんかでもマッチングアプリに登録していてだ、相手の条件として年収800万以上、学歴大学卒大学院卒、身長175センチ以上、職種医師、弁護士、大手商社、大手外資、パイロットときたもんだ。別に可愛くも何にもないのにだ。そこらの普通レベルの女だ。それがこんな高望みするんだ。何でも今までにいい出会いはあったんだけど、上には上があるもんだから欲がどんどん膨らんで来て決め切れないんだとさ。つまりさ、最初希望年収が500万だったのが600万700万800万と跳ね上がって行った訳だ。これじゃあ100万上がる毎に階級があるようなもので、それで言えば俺なんか下級も下級だから相手にされっこない訳だ。端から圏外だ。登録しても絶対無駄ということだ。  登録解除!パソコンの画面を虚しく見つめる俺。慮ってみれば、5万円バカもらってもどうしようもないよ。けど、もし、5万円プラスもう少しだけもらえるのであれば良いパソコン買えるんだけどな。この頃フリーズばかりして俺の安もんどうしようもないんだ。  あーあ、こんな世の中で、どう希望を持てって言うんだよ。俺、もう30なのに大人になってからデートすらしたことないんだ。仕方なく風俗行くしかないんだ。それも給料少ないから3ヶ月に一回だけだ。まだいけるだけマシか。
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