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智也は、黒を基調にしたいつもの私服姿に、黒いマスクをつけていた。
仕事帰りに駆けつけてくれたのだろうかと、後ろ暗い喜びが湧き上がる。
「なんで電話に出なかった?」
足を組んで、腕組みをして、外の景色を見ながら智也はそう言い放った。
あれから何度も着信が入っていたのは知っていた。
けれど出たくなかった。
出てしまったが最後、言ってはいけない言葉を放ってしまいそうだったから。
「心配するだろ…」
そこまで言って、智也は「あぁ、もう違うッ」と呟きながら頭を掻いた。
バツが悪そうに目を泳がせた後、私の目を見て「悪かった」と言った。
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