夕暮れの観覧車

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いつの間にか連絡の頻度も減り、私ばかりが彼のことを考えているような気持ちになった。 街中で彼の声を聞くようになって、テレビでしか彼の顔を見なくなって… 「急に仕事!?どうして今日ッ…」   文句を言おうとして、私は押し黙った。   本当はわかっていた。 彼の仕事は普通の仕事じゃない。 私が思う以上に大変な仕事で、人付き合いだって仕事のうちなのだ。 数多の才能を持つ人たちの世界で、彼は自分の才能を武器に闘っている。   だけど、私はバカで地味な女だから。 テレビの向こうで、彼の隣にキレイな女の人が映るたびにやきもきして、彼が歌う恋の歌の相手を疑っては苦しくなってしまう。
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