夕暮れの観覧車

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「今どこにいるの!?」   一人暮らしの寂しいアパートから電車で30分。 海が見える観覧車で有名な遊園地の前で、カップルや家族連れをよそめに私は一人で電話をしていた。   電話の相手は智哉(ともや)。 大学4年の時友達に誘われていった合コンで知り合ってから、もうかれこれ5年も付き合っている駆け出しのバンドマンだ。 出会ったばかりの頃は、特に夢もなく無難な会社を受けて内定をもらった私と違って、自分の夢を語るキラキラした彼に惹かれていた。 彼の歌が好きだった。 彼の夢は私の夢でもあった。   特別な彼が、私を選んでくれたことが嬉しかった。
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