3度すれ違っただけなのに

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すれ違ったあと、直美もまた、辛かった時のことを思い出しながら歩いていた。 直美の子もまた、学校へ行けなかった過去があったからだ。 その時、事情も知らない人たちから、学校へ行かなきゃダメだぞ。行かない人間はクズだぞ。行かないのは母親のせいだ。首に縄を付けて引っ張って行けばいいんだ。などと言われた経験があったことから、安易に声がけしてもいいんだろうかと躊躇ってしまったのも事実だった。 この親子の事情を何も知らない今の直美は当時、回りにいて悲しいことを容赦なく言って来た人たちと同じ側の立場に立っていると思ったのだ。 反面、経験者でなければわからない辛い思いをしているからこそ優しく声がけできるのではないかとも思う。 直美は悩みながら歩いていた。 今度見かけたら声をかけてみようか…。 でも、そもそも見ず知らずの他人の言う事など聞くお母さんなんだろうか、いささか不安ではあった。
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