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「今、どこにいるのかな?」
直美はこの道を歩くといつも思い出す親子がいる。もう10年近く前のことになるけれど。
その日はお天気がよかったこともあって、直美は自転車ではなく、久しぶりに歩いて行くことにした。
知り合いの家に届け物をしに出たのだが、歩いてみると珍しい花が咲いている家や空き地だったはずの土地にいつの間にか新築のアパートが建っていて、しかももう生活をしている人の洗濯物が見えたりして、その建つ早さに驚いたりした。
前を見ると向こうからベビーカーを押しながらこちらへ歩いて来るお母さんとその後ろに見え隠れする小さい子の姿が視界に入った。
なんの変哲もない光景だと気にも留めなかったのだがすぐ近く、すれ違う時になって直美は「えっ?」と表情に出てしまわなかったかと思うくらい違和感を感じたのだった。
ベビーカーの後ろに見え隠れしていた子は小学校1年生か2年生くらいの男の子だったのだ。色白でサラサラ髪の可愛らしい子だった。
でも平日の昼間……。
学校に行けないのかな?その事も直美には心が痛い思いだったのだが、それよりも、もっと違和感を感じた事があったのだ。
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