影を追う

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きみは今、どこにいるのだろう。 きみは今、何をしているのだろう。 ぽっかりと穴が空いていて、心の中から抜け出してしまったみたいだ。 きみのことが確かに記憶にあるのに、確かに一緒にどこへでも行けたのに、まるで初めからいなかったかのようだ。 「大丈夫なのだから、心配する必要はないんだよ」 などと言ってぼくの気を休めて、それなのにぼくはきみにひどいことを言った。 「ぼくのことが嫌になったんだろう、ぼくはきみがいなければ生きていかれないのに。きみはぼくを棄ててしまう」 さいごの夜にきみにそっぽを向いて眠ったことを後悔している。 さいごの夜にきみに一言「ありがとう」と言えなかったことを後悔している。 眠って、目が醒めたらきみはもうここにはいなかったのだ。きみに憎まれ口をたたかれないことに、寝坊をからかわれないことに、きみに会えないことに気が付いたぼくの絶望を、後悔を、きみは想像できようか。 きみはぼくと離れる大きな決断を越えたのに、何の心構えもなく朝日を浴びるぼくがきみに謝罪も謝意も伝えられなかったなんて。 きみは、今どうしているのだろう。 きみのいた影を追って、ぼくは日を浴びて真っ白なベッドに腰掛ける。
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