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急行電車が停車するようになった地元駅。
ホームにあった売店はエキナカコンビニに変わっていたけど、駅前の雰囲気は記憶にあるままだ。
「なんか緊張しちゃうな」
頼子が柄にもなく前髪を気にしている。
「そんなに構えなくていいよ」
「お土産、本当にコレでよかったのかな」
「お袋も祖母ちゃんも甘い物好きだから間違いないって」
「やっぱり文栄堂のモンブランのほうがベターだった気がしてきた」
「そんなことより、家に向かう前にちょっと寄りたい所があるんだけど」
「え、どこ?」
怪訝な顔をする頼子に、歩夢はどこから説明すればいいのか、ちょっと考えた。
会えるかどうかもわからないのに。
ヤコ、あなたは今どこにいますか?
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