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1957年11月3日 午前5時。
打ち上げは、ライカにとって辛いものだった。
まずはとてつもない爆音。
そして押さえつけられているような、体が重くなる感覚。
それは宇宙船の発射音と、打ち上げによる凄まじい重力。
ライカはこのようなことに耐えられるように事前に訓練を受けていたが、それでも辛い事に代わりはなかった。
ライカにとってただただ耐える時間が続いた。
心臓が早鐘を打ち、呼吸も苦しく、空間は揺れ、今までとは違う孤独感が襲ってきた。
それはライカにとってとても長い時間に思えた。
しかし実際にはそう長い時間ではなかった。
人間で言うところの、十数分だっただろう。
目を伏せ、ひたすらに辛い時が終わるのを待っていたライカを次に襲ったのは、何とも言い難い浮遊感だった。
宇宙船の中の極小な空間でも、ライカの脚は床を離れ、ライカは驚き爪先で床を掻いた。
伏せていた目を上げ小さな窓を覗くと、そこにあったのは、青く大きな球体だった。
そう、ライカは生きて宇宙へと辿り着いたのだ。
かつて「地球は青かった」と言った世界初の有人宇宙飛行をしたユーリイ・ガガーリンよりも先に、ライカは青い地球を目にしたのだ。
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