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ライカの視界からだんだんと青さが消えていく。
それは宇宙船が地球周回軌道に乗り、地球の周りを回り始めたからであった。
ライカの目には、夜の地球を捉えられる程の視力はなかった。
名残惜しく、少しでもあの青い球体を、と必死に窓を覗いていた。
ライカを乗せた宇宙船が地球を一周したのは、約百分後のことだった。
ライカの眼前にはまた、あの青い球体が広がっていた。
ライカはわかっていなかったが、地球では宇宙船に関わった技術者達が、ライカの無事を確認していた。
ライカの体や宇宙船には、ライカの生命維持装置と、状態を通信する機器が取り付けられている。
地球を一周したライカが無事に生きていることに、地球上ではライカを送り出した人間達が喜びあっていた。
しかしライカは今、宇宙で一匹。
地球上でライカの無事を喜ばれていようとも、ライカにそれが伝わることはなかった。
その後、宇宙船はそのまま更に地球を一周した。
異変が起きたのは、更に次の一周でのことだった。
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