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その後ライカは、人間のある家族と共に過ごした。
人間との温かな触れあい、その中でライカは、死が隣にあったあの悪環境が遠ざかるのを感じた。
しかしその時間は僅かだった。
再びこの狭い所へと閉じ込められ、現在に至る。
暑さで意識が遠ざかるライカだったが、小窓から青い球体が目に入った。
それをもう少しだけでもこの目にとどめておきたかったライカは、必死で空を掻き、首を伸ばして小窓に張り付かんばかりになっていた。
ライカにはここがどこなのかということはわかってはいなかったが、あの青い球体に人間達がいることを何となく理解していた。
自分を助けてくれたのではないのか、愛してくれたのではないのか、また助けてくれるのでしょう?またあの幸福感を与えてくれるのでしょう?
ライカは必死で、あの青い球体へと思いを伝え続けた。
しかしそれが、地球上の人間へと届くことはない。
やがてライカは意識を手放し、間もなく命をおとした。
地球を飛び立ってから、六時間程の事だった。
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