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宇宙船が四周めを終える頃、地球上との通信可能エリアに入った所で、技術者達にもライカの死が伝えられた。
宇宙船スプートニク2号は、そのまま地球の周りを回り続けた。
船内には、力なく目は開き、口からはダラリと舌をだしたままのライカを乗せていた。
もうすでにライカの命は失われているというのに、毎日決まった時間にライカの目の前のエサ入れにはエサが自動供給された。
そのエサは、水分を含んだゼリー状のものが一日100gのみ。
ライカの体重管理の為に計算されたものだったが、それすら口にすることなく、ライカは命尽きたのだ。
宇宙船が地球を飛び立ってから一週間が経つその日、エサ入れにはいつもと違うエサが供給された。
それは、ライカを安楽死させるための毒薬入りのエサだった。
そう、ライカは最初から宇宙への片道切符しか持たされていなかったのだ。
宇宙船スプートニク2号には、地球へと帰る機能や装備が最初からつけられていなかった。
技術者達には、ライカが宇宙へ行けば遅かれ早かれ死んでしまうことはわかっていた。
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