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【 4月12日 午前7時 】
気付くと、自分の部屋のベッドの中に倒れていた。
私はすぐに上半身を起こすと、携帯電話の時間を見る。
「朝の7時……。日付は、4月12日……!」
半信半疑のまま、テレビをつけて確認する。
『4月12日、朝のニュースです……』
「嘘、こんなことって……」
私は急いで家を飛び出した。
今、あの問題の列車は、まだ先の駅にいるはず。
私は近くの駅へ走りながら、彼の携帯に電話した。
『トゥルルルル……、トゥルルルル……』
彼に繋がらない。
携帯の時計を見る。
「もう、7時15分? 嘘、間に合わない……。陸はもう駅に向かっているかも……」
私は、駅の近くまで走ったが、この駅からではもうあの列車の出発時刻までに間に合わない。
咄嗟に、近くを走るタクシーを止めた。
「タクシー! 止まって!」
私はタクシーに乗り込むと、急いで美野駅の一つ手前の駅『町田駅』まで向かうようにお願いした。
「スピード違反するんですか?」
「お願い! 急いでるの! 陸の命が……、陸の命が危ないの!」
タクシーの運転手に、列車事故が起こることを説明したが、全く信じていない様子。
それも当たり前だろう。
今から、そんな大惨事が起こることなんて、誰も信じてはくれまい。
「お願い! 急いで!」
私の鬼気迫る表情に、タクシー運転手もアクセルを踏み込み、スピードを上げる。
間に合うか。もう、時間との戦いだ……。
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