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第一章
男子校だからと安心していた。
だけど、ここ最近は危険地帯でもあることを知った。
そうーー野郎はいつ狼にかわるかわからない。
学校から出れば、女もいる。
そいつらも、いつ肉食系に豹変するかわからない。
それをこの一週間で嫌というほど思い知った。
校舎裏の茂みに隠れながら、俺は息を整えていた。
いや、正確に言えば〝まるる〟がだ。
〝まるる〟とは、とりあえずで俺たちがつけた彼女のあだ名みたいなものだ。
「由弦さん。これからどうしましょう?」
(シッ。黙れ。奴らに見つかるだろうが)
俺はまるるに言う。
彼女は静かにうなずいた。
「ね、ねぇ!由弦くんはいた?」
「こっちに走って行ったと思ったんだけどなー」
メガネとデブが辺りを見回している。
俺たちはさらに身をかがめると、息も止めた。
「この赤ずきんちゃんのコスプレ、今の由弦くんなら似合いそうなのにな」
「こ、こ、興奮ものだよ」
メガネが赤いフードのついたワンピースを広げて見せる。
裾にフリルがついている。
誰がそんなもんを着るかっ!!
バカかっ。
「可愛い服ですよ!見ましたか?由弦さん!」
「ん?今、声がしなかったか?」
(っ?!このバカがっ)
デブが茂みに近寄ってくる。
俺、絶体絶命。
バカまるるのせいで、また屈辱的な状況に置かれるのかと思ったら、怒りが次から次へと沸いてくる。
奴らやまるるに対して。そして〝あの夜〟の俺に対して、だ。
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