僕の大好きな家族

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「おい歩夢、そう言えば母ちゃん今日、フランスから帰ってくるね!」 (加藤歩美6歳) 「うん!お土産何だろう。」 「ケチな母ちゃんがお土産なんて買って来ないよ。  また、旅行の話ばっかりだけだよ。  それって父ちゃん、お土産話って言ってたよ。」 「もう、お土産話なんて聞き飽きたね……」 「おーい!歩美、歩夢、人手か足りないから、パンの箱詰め手伝ってよ。」 (加藤健二36歳) 「何も入ってないパンをよく皆んな買うよね……」 「歩美、父ちゃんのパンは誰にも負けないパンなんだぞ!  助六さんの美味しい湧水で育った麦で作ったパンなんだから!」  僕達は、パンの味なんて分からない。  だって朝、昼そして夕方になると僕の家に沢山のお兄ちゃんとお姉ちゃんがやって来て、僕達のパンを食べにやって来る。  お金も払わないで……  何でだろう……  僕の家は貧乏なのに……  僕と姉ちゃんの服なんて近所から貰った服ばかり……  お姉ちゃんは愚痴ばかり言ってる…… 「ただいま〜〜歩美、歩夢、元気にしてた!  長い間ゴメンね!大好きなカトケンさん!」 (加藤明美36歳) 「あっ、母ちゃんが帰って来た〜!」 「母ちゃ〜ん!」 「ただいま〜皆んな!」 「お帰り〜!アケビさん、長旅、お疲れ様だったね!  焼き立てのパンが上がったばかりだから、食べてよ!」 「うん!フランスのパンよりカトケンさんのパンが早く食べたかったんだぁ!」 「母ちゃん、お土産は?」 「歩美、ゴメン、忘れてた……」 「またか……」  何故か、僕の母ちゃんは父ちゃんの事をカトケンって言って父ちゃんはアケビって言ってる。  変な家族なんだぁ……  でも、僕はこの家族が大好きだ。
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