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次の金曜日。
黒豆団の三人がそろってチャムコカフェを訪れると、馴染みのある落ち着いた声が聞こえた。
「いらっしゃいませ、4名ですか?」
サカキが瞬時に反応する。
「七海ちゃん!良かったー。元気だった?」
「お席にご案内します」
俯き加減な七海が淡々と接客をする。
我々が馴染みの客とは知らないかのようなよそよそしさだ。
それぞれの注文を取ると、足早に裏へ消えていった。
いつも通りと言えばそうだが、違うと言えば違う。
そういう独特な雰囲気を醸し出している。
「河邑さん元気そうで良かった。これで桃子がウエイトレスじゃなくなるな。良かったー」
メイが腕を上空に伸ばしながら安堵の表情を浮かべていると、あの声が遠くから聞こえてきた。
「私はいつでもウエイトレスに戻っても良いんだけどねー!」
後ろを振り返ると、噂の元ウエイトレス桃子がピースサインを送っている。
「あんたまだいたの!?」
「まだって、今日は普通に客としてだから。それはいつも通りだからいいじゃん。それにいつでも私が代打できるように待機中!」
バットを持つジェスチャーをしながら桃子が目を輝かせている。
すかさずメイが選手に声援を送るファンかのように声を出す。
「河邑さんがんばれー!」
「そういうことになるのかい!」
謎の河邑七海応援団が出来上がっていると、カフェのドアが乱暴に開いた。
黒い服を着た男が3人入ってくると、接客に入ろうとした七海に強い口調で言う。
「マスターいるよな?ちょっと来るように言ってくれ」
七海は言葉の通りマスターを呼びに行く。
すぐ裏からマスターが1人、首をかしげながらやってきた。
「はい、私がここのマスターですが?」
男の中のリーダー格のような人物がマスターに近寄りながら言う。
「あんたのとこヒーローと組んでるんだって?」
「はて、何のことでしょうか?」
「とぼけたって無駄だ。それに悪党側とも組んでるとか」
アヤ達の席から遠目で最初気が付かなかったが、あの手袋に見覚えがある。
赤色に小文字の"r"。レッドを撃った人達だ。
しかし顔は全員知らない。あの時と同じグループではあるが別人のようだ。
関西弁でもないし。
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