第四章 前編

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 次の金曜日。  黒豆団の三人がそろってチャムコカフェを訪れると、馴染みのある落ち着いた声が聞こえた。 「いらっしゃいませ、4名ですか?」  サカキが瞬時に反応する。 「七海ちゃん!良かったー。元気だった?」 「お席にご案内します」  俯き加減な七海が淡々と接客をする。  我々が馴染みの客とは知らないかのようなよそよそしさだ。  それぞれの注文を取ると、足早に裏へ消えていった。  いつも通りと言えばそうだが、違うと言えば違う。  そういう独特な雰囲気を醸し出している。 「河邑さん元気そうで良かった。これで桃子がウエイトレスじゃなくなるな。良かったー」  メイが腕を上空に伸ばしながら安堵の表情を浮かべていると、あの声が遠くから聞こえてきた。 「私はいつでもウエイトレスに戻っても良いんだけどねー!」  後ろを振り返ると、噂の元ウエイトレス桃子がピースサインを送っている。 「あんたまだいたの!?」 「まだって、今日は普通に客としてだから。それはいつも通りだからいいじゃん。それにいつでも私が代打できるように待機中!」  バットを持つジェスチャーをしながら桃子が目を輝かせている。  すかさずメイが選手に声援を送るファンかのように声を出す。 「河邑さんがんばれー!」 「そういうことになるのかい!」  謎の河邑七海応援団が出来上がっていると、カフェのドアが乱暴に開いた。  黒い服を着た男が3人入ってくると、接客に入ろうとした七海に強い口調で言う。 「マスターいるよな?ちょっと来るように言ってくれ」  七海は言葉の通りマスターを呼びに行く。  すぐ裏からマスターが1人、首をかしげながらやってきた。 「はい、私がここのマスターですが?」  男の中のリーダー格のような人物がマスターに近寄りながら言う。 「あんたのとこヒーローと組んでるんだって?」 「はて、何のことでしょうか?」 「とぼけたって無駄だ。それに悪党側とも組んでるとか」  アヤ達の席から遠目で最初気が付かなかったが、あの手袋に見覚えがある。 赤色に小文字の"r"。レッドを撃った人達だ。  しかし顔は全員知らない。あの時と同じグループではあるが別人のようだ。  関西弁でもないし。
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