第四章 前編

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 身動きが取れなくなっている男達の前で、ライトブルーが呆然と立ち尽くしている。  その間にどうにか引っ掛かるネットを取ろうと男達は必死にもがいている。  このネットだけではそこまで時間は稼げない。ここで勝負を決めてしまいたい。  怪しい光を放っていた"あれ"のような武器で……!  そうアヤは思っているのだがなぜかライトブルーはただ立ち尽くしているだけだ。  するとグリーンが倒れこみながら必死に声を出した。 「黒豆!私のバッグをこっちに!」 「は、はい!」  グリーンからの呼びかけに驚きつつ反応した通路側に座っていたアヤは、駆け足で桃子が座っていた奥の席へ向かう。  桃子の席には小さなポーチが置いてあるだけで、本当にこれが欲しいのだろうかと思っていると、足元から不思議な感覚がする。  そっとテーブルの下を覗いて見ると、大きなバッグから怪しい光が漏れている。  これは何度も見てきた"あれ"だ!  未だに正式名称はわからないが"あれ"だ!  すぐさま"あれ"を持ってヒーローの元へ駆け寄る。  これを使えるのは、能力的にも戦況的にもライトブルーだろう。  "あれ"をバッグから取り出しライトブルーへ差し出す。  しかしそれを見るなりライトブルーは、後ずさりを始めた。 「無理……私にそれはもう使えない……」  そのままライトブルーは床へ足から崩れ落ちていった。  男達はそろそろネットから出てこようとしている。  しかし"あれ"をライトブルーは受け取ってくれない。  アヤ自身が撃とうにも操作方法がわからない。グリーンに託そうにも動けない状態だ。  アヤはその場であたふたしたいると、サカキの声が飛んできた。 「七海ちゃん、いや水色!いやいやライトブルー!お前はグリーンを助けたいんじゃないのか?マスターを助けたいんじゃないのか? 自分の恐怖心だけで、大切な仲間がやられてしまっていいのか!?お前なら出来るだろ!水……ライトブルー!」  サカキが水色ではなくちゃんとライトブルーと呼んだところ初めて聞いたなとアヤが思っていると、その水……ライトブルーは"あれ"をどうにか手に取った。  涙を流しながら、震えて力が入らない足をどうにか引きずりながら、"あれ"を持って構える。  男達の一人がネットを抜け出してナイフを手に取ろうとした時、カフェに地響きが起こった。 「ズガーーン」  大量の煙が狭い入り口一帯を覆ってしまったため状況はわからないが、至近距離であったこともあり効果は絶大であっただろう。  メイがカフェの窓を次々に開けて煙を外に逃がすと、動けなくなっているが息はありそうな男達が見えてきた。
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