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マスターが連絡をしていたのだろう、ほどなくして警察が来て男達は身柄を確保された。
あれからずっと座りながら顔を手で覆っているライトブルーに、グリーンが歩み寄る。
「ライトブルー、いや七海ちゃんありがとう」
かすれた声で七海が答える。
「もう私ヒーロー出来ない」
事情を知っているであろう桃子が優しく七海に寄り添う。
「七海ちゃんがいなければ今回はやられたと思うし、レッドの時だってもっと悲惨なことになってたかもしれない。自信もって。悪い奴やっつけたんだよ」
「悪い奴かもしれないけど人に向かってあんなの撃つことはもうできない……。そういうことをするために入ったんじゃなくて、世界平和って思ってたから。人をこんなに痛めつけるのはもう無理だよ……。あの時と一緒……」
警察と話をしていたマスターが戻ってきて声をかけた。
「河邑さんごめんなさい、私がヒーローに誘ったのが悪かったです」
静観していたメイがサカキに呟く。
「え、マスターが水色をヒーローに誘ったの?ってことはさっきあいつらが言ってた、マスターはヒーロー側の人間というのも本当?」
サカキがどう答えるのが正解か悩んでいると、メイの言葉が聞こえていたマスターが代わりに答えた。
「本当ですよ。20年前からアブソリュートの一員でした。といってもサポート役ですがね。
そして5年前に辞めて夢だったカフェを開いたんです。その時からサカキ君には良くしてもらってましてね。よくカフェに来てくれまして、それが今でもこうやって顔を出してくれているんです」
「へえ、意外と良いとこあるじゃんサカキ」
「意外とってなんですか……」
マスターは続ける。
「その後にバイトとして河邑さんを雇いました。とても良い子で仕事もできるのですが、何か裏がありそうでして。
それで本人や親御さんに話を聞いてみると、空手の高校生チャンピオンだったようでして」
「え、そうだったんですか」
「本人は隠しているわけではないようなので話してしまいますが、空手の全国大会決勝で、気合が入っていたあまりに上段回し蹴りが相手の顎にクリーンヒットしてしまいまして相手は意識不明になってしまいました。
本来はルール的に寸止めしないといけなかったらしいのですが、決勝ということでアドレナリンが出ていたのでしょう。
それから空手家として失格だと本人は思ってしまったようで、そのまま引退したそうです」
「そういう時はどっちが勝ちになるんでしょうね」
今はどうでもよい質問がサカキから入る。
「ああ……そこまでは聞いてなかったですね」
「ほらマスター困ってるじゃん。どうぞ続けてください」
メイが話を戻させる。
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