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「それでなんかもったいないなと思いまして。こんなに優れた能力を持っているのにカフェでバイトしているだけで良いのかと。
それにあの苦しみを引きずっているのかとても暗そうで。前はとても明るい子だったそうですし。
それで私がアブソリュートに誘いました。
本人は乗る気ではなかったのですが、我々は強力な武器は使わないから相手を傷つけないこと。世界平和になるということを伝えましたらやってみると言ってくれまして。
イエローが抜けるという話を水面下で相談を受けていましたので丁度良いかなと思いまして」
情報通のウツギが目を輝かせて言う。
「やはりそういうことでしたか。水色が入った後くらいからイエローが出てこなくなってきたんです。タイミング的にも怪しいなと噂があったのですがこれでスッキリしました。サカキさんに聞いてもはぐらかされていたので」
「まあ、七海ちゃんのためにもあまり言うのは良くないと思っていたしな……」
メイも思い出したように発言する。
「あ、前に倉庫でアヤちゃんに裏葉柳が"あれ"を撃とうとした時に、水色が止めたのはそういうことね。あれ強力で相手を傷つけてしまうから止めたのか」
マスターが続ける。
「そうだと思います。しかし結果、今日や前のレッドさんの時のように河邑さんが相手に致命傷を与えるような事態になってしまいました。
やはりアブソリュートに誘うべきではなかったです。私の判断ミスですね。責任を取るためにもこのカフェは畳もうと思います」
「それは……」
サカキが何か言う前に七海が答えた。
「それは違います!マスターは悪いことはしていませんし、私のことも……黒豆さんのことも良くしてくれているみたいですし……。
ごめんなさい。私がヒーロー辞めるなんて言ったから。マスターがせっかくチャンスをくれたのに、自分だけの考えであんなこと言ってしまって……」
桃子が七海に寄り添う。
「まあヒーローのことはまたゆっくり考えよ。今は休養も大事だからね。私もまたカフェに様子見に来るからさ。
それからでも良いよ、ヒーローのことを考えるのは」
「ありがとうございます……」
そう七海は言うと、桃子に抱きつき泣き始めた。
それを桃子は優しく包み込んでいる。
七海はずっと一人で悩んできたのだろう。でも今はこうして仲間がいるのだ。
きっとすぐに立ち直ってくれると思う。
人生経験もまだ薄いアヤだが心の中でそう感じていた。
ひと段落したところで、アヤは気になっていたことを聞いてみる質問タイムを設けてみた。
「メイさん、あの、マスターが言っていた"アブソリュート"ってなんでしたっけ?」
「ヒーローの正式名称っ!!」
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